HSPと〇〇の違い(発達障害、精神疾患など)似ているように見えるもの
HSPと似ているように見えるものに、発達障害、ADHD、ASD、パニック障害、AC、双極性障害、ひきこもり、神経症、潔癖症などがあります。
「自分はどこかおかしいのではないか?」とネットや本で、メンタルの病気や障害のチェックリストを行ったり、医師の診察などで「病気または障害の傾向がある」と言われることもある一方で、自分はそこまでおかしいのかスッキリできず、不安や疑問が残っているHSPの方も多くいます。
HSPは、病気や障害とは異なります。
HSPに似ていても、実際には違っているものがいろいろあります。
病気なら治療すれば治りますし、障害の場合は、DSM-V(アメリカで出版されている障害の診断と統計マニアル)などの診断項目で判断するものです。
HSPは、DSM-Vには載ってません。
HSPの4つの特徴は、言葉で説明する限りは病気や障害の特徴と似通っている部分がありますが、当事者のみが納得する感覚的な違いがあります。
発達障害との違い
HSPは、発達障害ではないかと自分を疑うこともあります。
仕事を続けられない、人間関係を築けないなど、社会生活に支障が出ていて、発達障害かもしれないと周囲から言われたり、自分でもおかしいと感じるなら、HSPであると考える前に、まず発達障害の専門の病院を受診してください。
発達障害であるとしたら、適切な治療と支援が必要です。
HSPと比較されているそれぞれの障害や症状のある方は、似ている部分もあるが異なる状態もあるとお分かりいただけると思います。
アーロン博士は、発達障害でもありHSPでもある可能性をはっきり否定していません。
まだ研究が重ねられているトピックでもありますし今の段階では、HSPでもあり、これらの障害や症状もあるとおっしゃる方も存在しています。
ADHD(注意欠陥多動性障害)との違い
ADHDの多動性(落ち着きがない、気が散りやすい)という特徴は、HSPの気が散りやすいこととは違います。
HSPが気が散りやすいのは、ささいなことにも気がついてしまううえに、気がついたこと全てに対応しようとしてあれもこれも手をつける結果だと思ってください。
ADHDに見られる注意欠陥とHSPの不注意さを比べると、HSPが不注意になるのは深い処理をしていて、考え事にふけっていて、他のことに注意が向かないか、または神経が高ぶりすぎて慌ててしまい、細かいことに気がつかなくなるためです。
ASD (自閉症スペクトラム)との違い
ASDは、こだわりが強い側面があります。
HSPも「こだわりが強い」と言われることがありますが、HSPがこだわるのは、深く処理して考え抜いた結果、確信を持って意見を主張する点になります。
ASDとHSPの大きな違いは「空気を読めているかどうか」です。
HSPであっても「空気が読めてないので、HSPではない」と思う場合があります。
HSPは、周りの人が何を考えていて、何を期待しているかわかっても、期待に応えすぎて疲れるのが嫌で、気がつかないふりをしていることがあります。
あるいは、自分に自信がないまま成長したHSPは、期待通りに行動しようとしても、その行動が本当に期待通りか不安で、行動できないのです。
要するにHSPは、周りの人の気持ちや考えがわかっても、疲れるのが嫌だったり、自分を傷つけたくなくて守るために、表面上は空気が読めていないふりをすることがあるのです。
パニック障害との違い
HSPは驚いたり、精神的な負荷が急にかかると、過呼吸や、どうしたら良いかわからない不安に駆られてパニック状態に陥ることは多々あります。
また、パニック状態に陥ったHSPの周りの人が、何とか対処しよう、助けようとして手を差し伸べたり、声をかけたり、体に触れたりすると、さらに刺激を受けてしまい、パニック状態がひどくなる場合もあります。
HSPの多くは、パニック状態になってしまった自分をとても恥ずかしいと感じ、1人にしてほしい、放っておいてほしいと思うことが多いでしょう。
ひどい動揺や驚きは、時間が経つとだんだんとおさまります。
周りの人が助けに入ってしまうと、HSPの場合は、助けに入ってくれた人に申し訳ないとか、頑張って一刻も早く落ち着かないと、助けに入ってくれた人が落ち着かないのではと、自分の状態を差し置いて気にしてしまうのです。
どんなに時間がかかったとしても、自分のペースで動揺が収まるまで過ごしたいのです。
自分のペースとは、過呼吸状態から徐々に普通の呼吸へ戻る場合、動揺した気持ちを、大声を出すことで吐き出し、徐々に、周りを見回す余裕が生まれる場合など、パターンは様々です。
端から見ていると、とても黙って見過ごせない状態ですが、HSPがパニック状態に陥る場合の対処は、気持ちが落ち着いた後で本人に尋ねると、自分で自分の調子をわかっているので、放っておいてほしいと考えている場合があります。
「過呼吸になる」「意識を失ってしまう」のが障害なのか、HSPの過度な神経の高ぶりによるのか、また両方かについては、医師の診断のもと冷静に見極める必要があります。
アーロン博士によると、パニック障害であったとしても、気持ちが落ち着いているときに、なぜパニックになってしまったのかの順番を丁寧に振り返ることで症状が軽くなるケースもあるそうです。
双極性障害との違い
双極性障害のような、調子が良い時はとても良いが、悪いと奈落の底に落ちるような感覚はHSPにもあります。
HSPの気分のアップダウンと双極性障害の違いは、アップダウンが病的かどうかによります。
双極性障害と刺激追求型HSPセルフテストに書かれている特徴は、言葉では似ているものがあります。
ただし、病的なレベルかどうかは医師の診断を受けてください。
AC(アダルトチルドレン)とHSP
アダルトチルドレンは、親がアルコール依存症などで機能不全の家庭に育ったトラウマを抱えたまま成長した大人のことです。
育った環境による後天的なもののため、HSPがみなACとは限りません。
ひきこもりとの違い
HSPを気質です。ひきこもりとは、ひきこもった状態を指していますが、その原因がHSPとは限りません。
HSPの3割は外向型です。つまり外へ出かけるのが好きな人たちもいます
神経質、潔癖症との違い
HSPは「神経質だね」と言われることもありますが、深く処理する特徴を持っていることを思い出してみてください。
静かで、外に人がいないなど、集中しやすい環境では、深く処理をしている間は考えにとらわれて周りへの注意がいかなくなることもあります。
その結果、考えていること以外のことを忘れてしまったり、不注意になる側面もあります。
潔癖症もしかりで、ささいな汚れに気がついてしまうからといって、HSPは必ずしも汚れをきれいにするとは限りません。
調理をしていて、冷蔵庫の扉が汚れていると気がついても、調理に気をとられていたら、冷蔵庫の扉を拭くかどうか迷うことの方が多いでしょう。
本人が自覚するのは難しい?
HSPは、HSPとは違う症状を持っている人に対して違和感を感じるので(別の問題だろうな…と)なんとなくわかります。
だけど本人には自覚がないのか、全ての生きづらさの原因を「HSPの症状」だと思っているという人が多いなという感じもあります。
みんな自分というサンプルがあるから、「HSP=自分と同じ」だと思ってしまうかも知れませんね。