自分と他人は違う人間「課題の分離」アドラー心理学
境界線が薄いために「相手の気持ちに左右されやすい」のが、HSPの多くに見られる特徴です。
そこで「境界線が他の人たちよりも薄い」ということをしっかりと自覚して人間関係を築いていくことが、自分を守るためにはとても重要です。
では具体的にどうすればよいのでしょうか?
まずは「自分と他人は違う人間だ」という、当たり前の事実をしっかりと頭に叩き込んでおくことです。
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一人一人が異なる内部世界を持っている
私たちは一人一人が異なる内部世界を持っています。
生まれてこのかた、脳に入ってきた刺激の種類も量も質も違えば、それらの解釈も各人各様なのです。
したがって刺激と解釈によって築き上げられる内部世界は、当然、人によって異なるわけです。
物事を捉えるのは内部世界です。その内部世界が人によってそれぞれ違うのです。
あなたと相手では認識が違う
例えば、2人の前に置かれている同じ1つのりんごも、あなたと相手ではその認識が違っています。
同じものを見ていながら、脳の中の内部世界では違う姿として捉えているわけです。
りんごに限らず、1つの出来事に対する感じ方も認識も、何もかもがあなたと相手では違っています。
このようにあなたが他の誰とも違う、唯一無二の内部世界を持っていること、したがって相手と違っていて当然であることをしっかりと意識しましょう。
この認識が強固な境界線を作る第一歩になります。
相手に過剰に同調しない
また境界線が薄くて、他人の侵入を容易に許してしまうと、相手に過剰に同調してしまう過剰同調性が起きます。
過剰同調性の裏側には、HSP特有の敏感さが関係しているだけでなく、相手に認められたいという「承認欲求」と呼ばれる心理も大きく関係しています。
相手に認められたいばかりに、嫌われたくないと言う心理が働き、そのため相手からなにか頼まれると断れないし「ちょっと違うけどな」と思っても、相手の考え方に同調してしまうのです。
そこで、相手にたとえ嫌われてもいいと考えたり、頼み事を断ったり、「私はそうは思わない」と主張することが大切です。
自分の問題と相手の問題を切り離す
そのためには自分の問題と相手の問題を切り離すことです。
これを心理学者のアドラーは「課題の分離」と言っています。
確かに、頼み事を断れは相手は腹を立てるかもしれませんし、異議を唱えれば相手は深い不愉快になるかもしれません。
でも、腹を立てるのも不愉快になるのも相手の問題であって、自分の問題ではありません。
そして、あなたのことを嫌うかどうかも、相手の問題であり、あなたの問題ではないのです。
なぜなら、あなたと相手はともに別々の内部世界を持ち、それぞれに独立した「個」なのですから。
こうして、自己と他者の課題(問題)をきちんときっちりと分離することを常に心がけることで、他者との境界線をしだいに意識できるようになるでしょう。
人間の悩みのほとんどは、他者から侵入されたり、自分が侵入することによって引き起こされると考えたのも心理学者のアドラーです。
離れていても寄り添える関係
HSPは境界線が薄いために、特に人間関係のトラブルに巻き込まれがちです。
それを避けるためにも自己と他者の課題をしっかりと分離し、過剰同調性に陥るような関係を断ち切りたいものです。
そんな突き放したような考え方は、少し寂しい気がする…
そう感じる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、相手に心の中に土足で踏み込まれたり、自分が土足で相手の領域に踏み込んだりすることで、孤独を癒せるわけがありません。
寂しさを癒してくれるのは、適度な距離があって、それでも共感しあえる相手ではないでしょうか。
「離れていても寄り添える関係」そんな関係になれるよう境界線を意識するのが重要なのです。